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鉄道系人気YouTuber 西園寺さんインタビュー(2022年12月22日撮影)

2023年4月1日

同志社での学びを糧にYouTuberとしての生き方を追求

同志社中学校・高等学校の自由な環境で
夢中になって打ち込めるものと出会う

中学校から高等学校まで6年間、同志社中学校・高等学校で過ごしたという西園寺さん。「中学生のとき、1970年に開催された大阪万博に僕も行きたかった…という話を理科の先生にしたら、わざわざ当時のパンフレットを持ってきてくれたりして、生徒一人ひとりの興味や関心に応えてくれる雰囲気にあふれていましたね」と思い出を語る。

中学校ではサッカー部、高等学校ではバトミントン部に所属してスポーツに打ち込んだが、そこで鉄道ファン以外の仲間たちと出会ったことが、現在のYouTube動画の企画力につながっているという。「鉄道に詳しくない人にどうすれば僕の趣味を理解してもらえるのかなって。まったく違う世界に飛び込んでみることで、多くの人に自分の思いや考えを分かりやすく伝えるコミュニケーション力を磨くことができました」。 転機となったのは高校2年生の冬。ちょうど同志社大学への進学を意識し始めた頃、大学生活の中で誰かに誇れるような特技、強みを身に着けたいと考えるようになった。「一貫教育の自由で伸びやかな環境の中で、受験勉強とは違う別の何かに打ち込める時間が十分にありました」。YouTubeチャンネルを開設したのもその取り組みの一つに過ぎなかった。最初はYouTuberになるつもりはなかったというが、「興味のあることにどんどんチャレンジしていくうち、自分に一番向いているもの、得意なものと巡り会うことができたんです」と笑みをこぼす。

経営者としての経験が
自分の成長につながる新たな力に

チャンネル登録者数が増えていくうち、自分一人で楽しんでいるだけでは、これ以上の支持が広がらないということに気づいた。再生回数が多い他のYouTube動画を調査・分析し、「対決」「新幹線」「飛行機」など人気キーワードを生かした企画動画を作成した。博多駅でのぞみ号に乗車した友人を見送った後、そのまま飛行機で先回りし、新横浜駅でその友人を出迎えて驚かせる…という奇想天外の内容で、再生回数100万回を突破する大反響があったという。「YouTuberは才能のある人だけがやるのではなくて、きちんと分析した理論や法則に基づいて視聴者が望んでいるものを提供すれば、自分でも人気を獲得できるということを実感しました」。

現在、チャンネル登録者数は34万人を超える。「正直、最初から実感があったわけではありません」と西園寺さん。だが、2021年7月、大阪府貝塚市に本社がある水間鉄道とのコラボレーションイベントに参加し、西園寺さんの名前を冠した「西園寺特急」の運行を目当てに集まった2,000人のファンと接して、画面の向こう側に自分の動画を楽しみにしてくれる人がこんなにいるんだと改めて気づくきっかけとなった。「これは簡単にやめられないなと思いました」。

一方で、大学4年生となり、親しい友人たちが次々と就職先を決めていく中で、「本当にこのまま職業としてYouTuberを続けていけるのか?」という葛藤もあったという。失敗したっていい!大学を1年間休学して、本気でYouTubeに打ち込んでみよう…。「長い人生、少しくらい遠回りしてもかまわない」と頬を緩める。休学した1年間は、学生生活では味わえない貴重な経験ばかりだった。YouTubeへの動画投稿を軸とした会社を立ち上げ、新たな人材雇用にも取り組んだ。「どうやって安定した収益モデルを作るのか、従業員のモチベーションを高めるのか…、経営者としていろんなことを学んだ有意義な期間でした」と振り返る。

一貫教育で育まれた良心を
YouTubeに映して新たな価値創造

現在、大学生、YouTuber、起業家として三足の草鞋を履いて活躍している。「トランプでたとえるなら、強い手札をできるだけ多く揃えておくことが大切」と西園寺さん。雑誌に取り上げられたり、企業とのコラボイベントだったり、アプリの開発だったり…、動画の企画や投稿を続けていくうちに自分自身がチャレンジできる可能性がどんどん広がっていった。人気YouTuberがアパレルブランドを立ち上げる時代、YouTubeは目的ではなく、自分の夢をかなえるツールの一つに過ぎないということに気づいたという。

インフルエンサーとしての認知度が高まった今、「自分の影響力を使って社会を良い方向へと変えていきたいですね」と意気込みを示す。コロナ禍や物価高、戦争や紛争など、先行きが見通せない世の中だからこそ、「自分たちが提供する価値を通して、多くの人にわくわく感を届けたい。鉄道交通に関心を持つ人が増え、地域の活性化や観光地の賑わいにつながっていけばいいなと思います」。その思いの中には、「一国の良心ともいうべき人々を育成する」という同志社の良心教育が息づいている。

同志社一貫教育の中で育まれた西園寺さんの個性と才能は、今まさにYouTubeとともに大輪の花を咲かせようとしている。

西園寺さんと同志社一貫教育探求センター 大久保所長

一貫教育探求センター所長との対談動画はこちら